New Buisiness

新規事業について

日本は世界有数の森林資源を有する国であり、国土の約7割が森林と言われています。この割合はフィンランドに次いで世界第2位の割合です。

しかし、その一方で日本の木材自給率は約3割に止まっており、多くの森林資源は活用されずに山林に残されてしまっています。
これは林業という産業が衰退する原因となるだけでなく、伐採されずに残されている老木は二酸化炭素の吸収率が悪くなる等、地球温暖化の抑制効果にも影響を与えているのです。

そこで、当社ではこのような未活用の森林資源を電力エネルギーとして活用する、バイオマス発電事業に取り組みます。

現在でも木質バイオマスを利用した発電施設は日本各地に存在しますが、それらの殆どは火力発電と同様、木質バイオマスを燃焼し、発生した蒸気でタービンを回すものです。

一方、当社が取り組む発電方法は、木質バイオマスから水素を多く含んだガスを生成し、ガスエンジンを回すことで電力を生むという、これまでとは違った方法によるものです。
この方式を採用することで、発電施設の小型化が可能となり、森林資源の運搬効率を高め、木材の伐採から発電までの一連の流れの中で発生する温室効果ガスを抑制することが出来ます。
また、発電施設それ自体も殆ど化石燃料を使用せず、木材資源が持つエネルギーだけを利用して電力を生み出すことが出来るのです。

また、この発電プラントは木質バイオマスを電力に変えるだけでなく、水素やバイオ炭製造に転用したり、
排ガスを熱利用することもでき、林業の活性化と森林資源の活用に貢献するものです。

ここでは、バイオマス発電を中心に、当社が計画する木質バイオマスの活用方法をご紹介します。

木質バイオマスガス化発電

木質バイオマスガス化発電とは、木質バイオマスの持つ炭素分に水蒸気を使って熱化学的変換(蒸気改質反応)を起こし、発生したガスを燃料として発電するものです。

主な装置の特徴

炭化炉

炭化炉はチップ状の木質バイオマスから純度の高い (80%以上)炭化物を作る装置です。
また、炭化炉から発生する排ガスはプラント全体の熱源として利用され、化石燃 料を必要としません。

改質炉(改質ガスシステム)

改質炉では炭化炉で生成した炭化物と水蒸気を混合して水素分を多く含む水性ガスを作ります。
水蒸気量を調節することでガスの組成を変えることができ、ガスエンジンの仕様に合わせたガスを生成することが可能です。

その他このプラントの活用方法

このプラントが生み出すものは電力だけに止まりません。
発電の過程では高温の排ガス、水素を多く含むガス、炭素純度の高い炭化物が発生しますが、これらは発電とは違った形で活用することが出来ます。
当社では、このプラントの基本技術を使い、上記のような事業についても積極的に取り組むことで、木質バイオマスのより有効な利用方法を研究していきます。
以下では3つの活用例をご紹介します。

排熱の利用

電力を作る過程では、炭化炉やガスエンジンから排 ガスが発生します。
これらは数百度の高い温度を持ち、原料である木質バイオマスの乾燥や水蒸気の生成に利用する他、温水の製造や空調に利 用することも出来ます。

水素ガスの製造

蒸気改質により生成したガスは60%程が水素であるため、これを改質器を使って純度99.999%の水素ガスに精製することも可能です。
この純水素は最近市場にも出始めている水素自動車の燃料として利用することが出来ます。

バイオ炭の製造

炭化炉で作られる炭化物は殺菌・吸着能力を有した 高機能なバイオ炭として利用することも出来ます。